こんにちは。副院長の章浩です。小児シリーズを終了して、しばらく経ちますが、多くの方から歯並びが悪く、口呼吸なので、何か良い方法はないですか?というご質問をいただいております。そこで、おうちでもできる簡単なトレーニング方法を今回はお伝えしていければと思います。本来は、そのお子さんの状態にあったトレーニングを歯医者さんが選択し、お伝えすることが理想なので、できれば歯医者さんでお子さんに最適なトレーニング方法を聞いてみてください。
また、このトレーニングで歯並びや呼吸の改善が見込まれるのは、6歳までです。ですので、6歳以降は原則矯正治療が必要になってきます。矯正治療の種類のよっては、今回紹介するトレーニングを併用しなくてはいけないものもあります。以上のこともありますので、基本的にはまず歯医者さんへ受診されることをお勧めします。
前にも少しお話しましたが、そもそもなぜ歯並びが悪いことがよくないのかということを、復習がてらお話してみたいと思います。
上のような悪い歯並びに、そもそもなぜなるのでしょうか?それは、顎の発育が十分でないために、歯が生えて並ぶだけのスペースが確保できず、歯が重なりあって生えてしまうためです。
では、それがなぜいけないのでしょうか?見た目も確かにありますが、もっと重要なことは歯並びが悪いことが、お子さんの将来の健康を損なうことになってしまうためです。
歯が重なり合って生えきらないほどの、小さいお口なので、舌も本来の位置におさまることができず、歯並びが悪いお子さんの場合には、舌は定位置から下にずれた所にいることが多くなります。そうすると、舌が気道を塞ぎ、呼吸をすることが困難になります。呼吸ができないと、猫背になり、体中の筋肉や関節に負担がかかったり、睡眠時無呼吸の症状が現れ始め、高血圧や不整脈などの生活習慣病が発症しやすくなり、最悪寿命にまで影響を及ぼします。詳しくは下記を参考にしてください。
https://hf-dental.com/?p=492
歯並びが、まさか寿命にまで関係しているなんて驚きですよね。そして、怖いですね。では、お子さんがどういった状態であれば、歯並びについて考えた方がいいのでしょうか?
① いびきをかいて寝ていることが多い。
② 寝ている時や、集中している時にお口をポカンとあけている。
③ 3歳を過ぎて、子供の歯がぴったりと生えていて、歯と歯の間に隙間が見当たらない。
他にもいくつかありますが、代表的なものは上に挙げたものです。他にも、学校歯科検診で歯並びについての指摘を受けた場合も、歯医者さんを受診してください。このような時には、状況にもよりますが、歯医者さんでお口の筋肉トレーニングについて聞いてみた方が良いでしょう。
口をポカンとあけているお子さんには、是非このトレーニングを行なってみてください。
写真のような大きめのボタン(直径2.5~3㎝)に、首からかけられる程度の長さのフロスやタコ糸など通して、ネックレスを作ります。
これをテレビを見るなど集中する時に、首からかけて、写真のように唇と前歯の間において、落ちないように唇で把持します。
口をポカンとあけてしまいやすい時に、このトレーニングを行うことで、唇の筋力をつけ、お口を閉じる癖をつけてもらいます。だんだん力が緩んでくると、ボタンは落ちてしまいますがネックレスになっているので、転がって紛失してしまうことは防ぐことができます。
また、別の活用法としては、同じようにボタンを唇で把持し、今度は首にかけず写真のように前へ引っ張る方法もあります。より積極的に唇の筋肉を鍛えます。思いっきり5秒引っ張って、緩める。を3セットほど行なってください。
舌が本来の位置にいないために、歯並びが悪くなったり、口呼吸になり、呼吸不全の原因になります。舌の力が強ければ、正しい位置に舌を置くことが可能になりますので、是非このトレーニングも行なってみてください。
写真のように、唇の端まで舌をおき、
そのままゆっくりめ15秒〜20秒ほど上唇を舐めるよう舌を動かして、反対側の唇の端まで移動させます。
ポイントは、ゆっくりめ15秒〜20秒ほど、時間をかけて行うことです。次は同じように、下唇を舐めるようにゆっくり15秒〜20秒かけて反対側まで動かします。
最初は、このゆっくり動かすことが難しいですが、とても大切ですので、是非意識してください。
舌は本来、上の写真のように、上顎の×印のあたりに、先端をくっつけた状態で止まっています。口呼吸や、歯並びの悪いお子さんは、舌が下方にあるので、ほとんど舌の先端がこの正しい位置についていません。ですので、お子さんにこの写真を見せ、舌の正しい位置を覚えてもらい、まず舌の先を×印に置いてもらいます。次に、舌全体を上顎にベタっとつけるようにし、そのまま口を大きくあけて、舌を伸ばし、最後は上顎を弾くように、ポンっと音を立てます。
少し難しいので、小学生になってからのトレーニングになりますが、舌を鍛えるのに有効なので、行なってみてください。
2のトレーニングが難しければ、このトレーニングを行なってみてください。舌を上顎にベタとつけて、その状態をお口をあけ、次に奥歯が噛むようにお口を閉じてください。このあけて、閉じてを繰り返します。ポイントはこの動作中ずっと舌が上顎についていることです。
「あ・い・う・ベぇ体操」というものです。とても簡単で、お子さんも楽しみながらできるので、是非毎日トライしてみてください。
上の写真のように、「あ・い・う・ベぇー」とゆっくり、はっきり声に出していきます。「べえー」のときは、できるだけベロをたくさん前に出しましょう。「あ」から「べぇー」までを1サイクル。できれば、毎日30サイクルを目標に頑張ってみてください。
風船を膨らませることもトレーニングになります。とはいえ、お子さんが風船を膨らますことはなかなか大変なので、難しければ、写真のような吹き戻しを使ってトレーニングしてみてください。笛をふくことも有効です。お口をすぼめてそこから息を出すことを心がけてください。
歯磨きの後にうがいをすると思いますが、このうがいもお口のトレーニングになります。ぶくぶくうがいができるようになったら、是非行ってみてください。
少しの水をお口に含んだら、ぶくぶくをできるだけ長く行ってください。無理なくできる長さからで大丈夫です。最初は、2分を目指して頑張りましょう。また、慣れてきたら、次のようなうがいも行なってみてください。
右→上→左→下を各5秒づつできるだけ長くぶくぶくうがいを行い、可能なら2分前後行なってください。最初は1分続けるだけでも辛いので、無理のない範囲で大丈夫です。舌の前後左右の動きを意識して行なってください。習慣化して毎日継続することがとても大切です。5歳くらいからはこのようなうがいも教えてあげればできる子が多いです。お口周りの筋肉、舌の筋肉が鍛えられ、実は大人にとっても大変重要なトレーニングです。ぜひお子さんと一緒に毎日やってみてください。少しわかりにくいですが、動画を貼っておきますので、ご参考となれば幸いです。
いかがでしたか?簡単にできるものもあるので、是非試してみてください。また、以前のブログで、食事を工夫することで、噛む回数を増やし、たくさん噛む癖をつける方法もご紹介していますのでそちらも、参考にしてください。
https://hf-dental.com/?p=516
ただし、間違った方法で行なっても効果は出にくいですし、最初にお話したように、このトレーニングのみが有効なのは6歳までです。矯正にしても、トレーニングにしても早期に行った方が、改善する可能性は高くなります。ですので、お子さんの歯並びが悪く、将来の健康が気になる時は、一度歯医者さんに相談し、その上で適切なトレーニングをおうちで行ってみてください。