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どうして虫歯になるの?

こんにちは。副院長の章浩です。

前回までで、お子さんが虫歯にならないための磨き方なども数回にわたってお話してきました。では、そもそもなぜ虫歯になってしまうのでしょうか。歯ブラシなどもとても大切ではありますが、虫歯になっていく仕組みを知っていただくことで、より虫歯を予防することができます。今回は、どうやって虫歯ができていくのか。そんなお話です。

虫歯の根本的な原因は虫歯菌です。しかし、虫歯菌がお口にいれば、必ず虫歯になるのでしょうか。実は、虫歯になるには、上の絵のように、4つの要素が重要になってきます。

要素① 歯の質

虫歯になりやすい歯もあれば、なりにくい歯もあります。お子さんの歯というのは、虫歯になりやすい弱い歯です。歯の質を高め、虫歯になりにくくするために、前回お話したフッ素の活用がとても大切になります。

要素②虫歯菌

虫歯菌と一言で言っても、いくつかの種類があります。この虫歯菌もとても大切な要素ですが、後日改めてお話することにします。

要素③糖分(お食事)

3つ目はいわゆる砂糖です。砂糖を摂取すると虫歯になりやすいというのは、なんとなくイメージできると思いますが、なぜ砂糖が歯によくないのでしょうか?

それは、砂糖が虫歯菌の餌になるからです。ちなみに、砂糖が入っているものとして、チョコレートやアイスなどのお菓子を想像されると思いますが、ご飯やパンと言った普通のお食事でもやはり虫歯の原因にはなります。じゃあ何をどう食べたらいいんですか?と思われるかもしれませんが、そのお話はまた後日詳しくさせていただきます。

ともあれ、砂糖が歯によく無いのは事実です。砂糖がお口の中に入ってくると、虫歯菌がそれらを餌とし活動を始めます。この活動をする時に、虫歯菌は強力な酸を発生させます。この酸が歯の表面を溶かしていき(脱灰)、虫歯になるのです。虫歯菌そのものが、歯を食べたり、溶かす訳ではありません。菌が出す酸が虫歯の直接な原因なんですね。

では、酸によって歯は一方的に溶かされてしまうのでしょうか?そこで大切な役割を担ってるのが唾液です。唾液は、菌が作り出した酸を中和することができるんです。唾液によって、酸性に傾いたお口の中がだんだんと中性に戻っていき、中和されたところで、歯は上の図のように再石灰化という過程に入ります。ここで、溶かされた歯をある程度修復することができます。お口の中は、この脱灰と再石灰化を繰り返しており、なんとか虫歯にならないよう、人知れず頑張ってくれているのです。ちなみに、この再石灰化を助けてくれるのが、前回お話したフッ素になります。

食事のたびに、お口の中は脱灰(歯の表面が溶かされる)と再石灰化(溶けた表面を修復する)を繰り返している。

しかし、唾液によって中和されていくのにも時間がかかります。ということで、4つ目の要素は時間です。

要素④時間

再び上図を見てください。縦軸が酸性度、横軸が時間軸を表しています。詳しい話は難しくなるので、置いておきますが、ポイントは、食事が終わってしばらく(約20分)はお口の中は酸性となり、その後ようやく中和されて脱灰が終わるということです。食後すぐに歯磨きをしましょう、というのは、早く歯についた汚れをとってあげることで、作られる酸の量を減らして脱灰を緩やかにしようというのが狙いです。

しかし、最も大切なのは、この脱灰の時間を長くしないということです。この部分が小さいお子さんを持つお父さん、お母さんに是非知っておいていただきた部分になります。

少し長くなりますので、次回しっかりお話したいと思います。今回は、虫歯には4つの要素があり、食事の後に菌によって酸が作られ、それで虫歯になってしまうんだな、ということを覚えていただければと思います。