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フッ素を使って上手に虫歯予防

こんにちは。副院長の章浩です。前回は具体的な歯磨きの仕方についてお伝えしましたが、いかがだったでしょうか。うまくいった、いかなかった、新たな疑問が出てきた、などご感想いただければ何よりです。お待ちしています。

さて、本日はフッ素についてのお話です。フッ素が歯にとって良いということは、何となく皆さんご存知かと思います。しかし、フッ素が小さなお子さんにとって、必ずしも安全ではないということも、何となく聞いたことありませんか?いったい、いつから、どうやって使っていったらいいんだろう?そんな疑問を持たれてる方も多いと思います。今日はそんな疑問にお答えしていきたいと思います。

どうして、フッ素が虫歯予防になるの?

フッ素はミネラルの一種で、フッ化物と呼ばれる化合物として自然界に存在しており、お茶や、海水、魚介類、そして骨や歯に含まれています。では、なぜ虫歯予防に欠かせないのでしょうか?

具体的な機序はここでは省きますが、フッ素には以下のような働きがあります。

①歯を成熟させ、溶けにくい歯を作る・・・生えたばかりの歯は、まだまだ未成熟で虫歯になりやすいです。フッ素を歯が取り込む事で歯は成熟し、虫歯になりにくい歯になっていきます。

②酸から歯を守る・・・虫歯のそもそもの原因は、虫歯菌が放出する酸です。フッ素はこの酸が作られる事を妨害できるため、虫歯のリスクを減らすことができます。

③溶けた歯を治す・・・虫歯菌が放出する酸によってわずかに溶かされた歯の表面を、フッ素は修復することができます。完全な穴になってしまっては効果は無いですが、そうなる前のいわゆる初期虫歯の段階では、フッ素は大いに効果を発揮します。

フッ素はどうやって使えばいいの?

まず皆さんにやっていただきたいことは、おうちでのフッ素の活用です。具体的には歯磨き剤の使用です。市販されている子供の用の歯磨き剤にも、フッ素が入っているのでそれを使っていきましょう。大切なことは、お使いの歯磨き剤にどの程度のフッ素が入っているか(フッ素濃度)を知ることです。商品に記載されているものもありますが、無いものも多いので、わからない場合はメーカーに問い合わせてください。ちなみに歯医者さんで購入することができる商品には、フッ素濃度が記載されているものが多いです。もし無い場合でも、歯医者さんに問い合わせれば答えてもらえますから安心です。

他には歯医者さんで、定期的にフッ素を塗ってもらうこともとても大切です。歯医者さんでは、市販されているものに比べてはるかに高濃度のフッ素を塗ってもらうことができます。お家での歯磨き剤も使用しつつ、3ヶ月に1度くらいのペースで塗ってもらうと非常に効果的です。また、学校などで定期的にフッ化物洗口を行う場合があります。こちらも、安全で効果的な虫歯予防なので、もし行う機会があれば、是非受けられて見てください。

歯磨き剤の使用方法

まずは、歯磨き剤を付けずにしっかりと汚れを落としてあげてください。その後に、歯ブラシに歯磨き剤をつけて歯に塗るようにして、行っていきましょう。

・3歳未満の場合

 フッ素濃度が500ppmの場合、歯ブラシの毛束1本分程度(米粒大)を目安としてください。

3歳未満 500ppmの場合

フッ素濃度が100ppmのものであれば、歯ブラシの先端1/3(エンドウ豆大)を目安としてください。この量を守っていただければ、口をゆすげないお子さんであっても、安心して使えます。

3歳未満 100ppm   または 3〜5歳で500〜1000ppmの場合

・3〜5歳の場合

 500〜1000ppmを歯ブラシの先端1/3(エンドウ豆大)を目安としてください。

使用後は軽く吐き出して、30分間の飲食は避けましょう。吐き出すことができない小さなお子さんの場合でも、上記使用量を守ってもらえれば大丈夫です。

フッ素の危険性は?

一度に多量のフッ素を誤飲した場合は中毒を引き起こし、下痢や嘔吐、痙攣や呼吸困難を引き起こす可能性があります。使用量を守ってお使いいただいていれば問題は無いですが、小さなお子さんが歯磨き剤のチューブを誤って飲んでしまうこともありますので、くれぐれも管理はお気をつけください。

また、中毒まで引き起こさなくても、過剰に摂取を続けた場合に、大人の歯が白く濁るフッ素症という状態になることがあります。適度な量を心がけてください。

いかがでしたでしょうか?しっかりとフッ素について知っていただいた上で、正しくお使いいただき、お子様の虫歯予防に役立てていただければ幸いです。

追記(2023.4.28)

 フッ素の使い方について、日本小児歯科学会より2023年になってから新しい基準が発表されました。今までは、様々な基準があり、わかりにくかったため、統一したようです。詳しくは下記リンクをご参照ください。

https://www.jspd.or.jp/recommendation/article22/

以前ご紹介したものとは違い、フッ素濃度であまり細かく分けていないのが特徴です。なかなかわかりづらいので、広く広めるには上記リンクのようにした方が良いのだと思います。

今まで通り、濃度に合わせて変えて頂いても大丈夫ですし、面倒であれば小児歯科学会のタイプにして頂いてもよいと思います。しっかりとフッ素を使って毎日の予防、頑張ってください。