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SH療法っていう歯の矯正はどんな治療なの?

こんにちは。前回は、睡眠時無呼吸症候群の治療、予防法をお伝えしました。https://hf-dental.com/?p=1161

今回は、その中で紹介した唯一の原因療法であるSH療法について、詳しくお話していたいと思います。

歯を抜かずにできる矯正治療(睡眠時無呼吸の原因療法)

 通常のワイヤー矯正や、マウスピース矯正は、歯が重なって生えてしまい、歯が並ぶスペースがない場合、抜歯をし、意図的に作ったスペースに歯を誘導させ、綺麗な歯並びを作っていきます。歯は綺麗に並ぶことが多いですが、これは、しっかりした成長ができず、小さくなってしまったお口をさらに小さくすることになります。つまり、睡眠時無呼吸症候群のリスクをさらに高めることになるので、当院では現在、抜歯矯正はおすすめしていません。

 このSH療法は、歯を抜かず歯を外側へやや広げていくことによって、スペースを確保し、歯を綺麗に並べていきます。小さかったお口が広がっていくので、睡眠時無呼吸症候群の原因療法になり得ます。こういった説明をすると、お顔がどう変わるのか、気にされる方も多いですが、すごく顎がはったり、前に突き出したりといったお顔になることはありません。SH療法は周りのお口の筋肉も、同時に育てていく治療なので、むしろバランスの取れた綺麗なお顔になる方が多いです。ブログには治療前後のお顔の写真は掲載できないので、もし気になる方は、お問い合わせいただければ、参考になるものを直接見ていただくことも可能です。

目立たず、他の人にわからない矯正治療

 矯正治療というと、ワイヤーを使って数年間かかるので、どうしてもその間見た目が悪くなってしまいます。接客業などの方は、そうしたことを気にされ、なかなか矯正治療をできない方が多いです。

 SH療法は上の写真(SHTAホームページより引用)のような装置を使い、矯正していくのですが、この装置をつける時間は、寝る時の8時間のみです。つまり、昼間仕事をしたり、学校へ行く時には、この装置は外して、今までと全く変わらないお口になります。ですので、他の方からは矯正治療をしていることは、全くわかりません。もちろん、歯がだんだん動いてくれば、気づく人もいるかもしれませんが、見た目が悪くて気づかれるということはないのです。

 これはSH療法の大きな特徴です。例えば、マウスピース矯正は通常22時間以上の装着が必要ですし、小児が行う同じような装置による矯正も14時間以上装着することが普通です。SH療法は8時間で良いので、多くの方がご自宅で休む時のみで矯正を完了することができます。

 ただ、SH療法はこの装置をつけていない昼の時間に何をするのかがとても大切です。この昼の時間に、舌やお口周囲の筋肉のトレーニングを行なって、お口や歯並びが本来の理想的なお口になるよう筋肉でもって誘導してあげるのです。トレーニングといっても、それほど難しいものではありません。小学生のお子さんでもできることなので、安心してください。実際のトレーニング方法などは、また別の機会に詳しくご紹介したいと思います。

治療にほとんど痛みを伴わない

 ワイヤーやマウスピース矯正の場合、個人差はありますが、矯正中にそれなりの痛みを伴います。痛いのは、ちゃんと歯が動いている証拠だよ、なんて歯医者さんは言いますが、そうはいっても痛いというのは辛いですよね。中には、この痛みが原因で矯正治療を諦めてしまう方もいらっしゃいます。

 SH療法はそういった痛みがほとんどありません。朝、装置を外した時に、少しの間軽い痛みを感じることはありますが、朝ごはんを食べ終わる頃には消えてしまいます。痛みが少ないということも大きなメリットの一つです。

SH療法の欠点とは?

 ここまで聞くと、SH療法は素晴らしい矯正のようです。実際、素晴らしいのですが、欠点もやはりありますので、そういったことについてもお話していきます。

隙間を無くしていく矯正はできない

 SH療法は装置を使って、歯列を拡げていき、スペースを作り出して、歯を並べていく治療です。そのため、既にある隙間を埋めていく矯正治療は基本的にはできません。拡げていくことは得意ですが、狭めていくということは苦手です。

歯並びが綺麗に整うのは、ワイヤー矯正

 実際の症例写真を見ていただければわかりますが、SH療法もやる前と後とでは見違えるように綺麗な歯並びになります。しかし、細かな調整は苦手なので、ワイヤー矯正の方が綺麗な仕上がりになります。SH療法は今よりも綺麗な歯並びで、将来の健康を獲得していくことが目的なので、健康よりも見た目を優先させたい方は、ワイヤー矯正の方がおすすめです。SH療法後にどうしても、見た目が気になるような時は、ワイヤーで部分的に矯正治療を行なっていただく必要があるかもしれません。

 上の写真は実際の症例写真です。右側の3年3ヶ月後の写真をみると、かなり綺麗に並んではいます。ただ右上の前歯は左に比べると、やや前に出ているようにも見えます。このように、治療前と比べれば格段に綺麗になりますが、細かい修正はワイヤー矯正の方が向いているのです。

矯正期間が長いことが多い

 もちろん個人差がありますが、矯正期間が長くなることが多いです。通常のワイヤー矯正であれば、おおよそ1〜2年程ですが、SH療法は3〜5年程の矯正期間であることが多いです。ただ、前述したように、1日の装着時間は睡眠時がほとんどで、人前で気にすることはないので、矯正期間は気にならなかったという患者さんが多いことも事実です。

 また、装着期間が長くなるので、転勤などの可能性がある方は注意が必要です。転勤のため通院が困難になってしまうと矯正治療の継続ができなくなってしまいます。引越し先にSH療法を行える医院がまだあればいいですが、費用が余計にかかる可能性もありますし、SH療法を受けられる歯科医院は全国的にも非常に少ないため、現実的には難しいです。長い期間、しっかり通院できるかどうかということも考慮する必要があります。

 また、矯正期間の長さは装置をしっかり8時間以上つけられているか、ということがとても大きく影響してきます。装着期間が8時間を下回ると、その効果は大きく落ちてしまうので、毎日8時間以上装着できるかどうかもとても大切です。

 

後戻りの可能性はある

 これは、すべての矯正治療にいえることですが、矯正後に後戻りをする可能性はどうしてもあります。ただ、SH療法の場合、やや隙間ができるくらいにまで拡げて、後戻りの力を利用したながら、綺麗な歯並びを目指していくことも多いので、後戻りを加味して、治療を終える場合もあります。いずれにしても、矯正治療を行なった期間以上の保定期間が必要です。保定期間とは、それまで使用していた矯正装置やマウスピースなどを使って後戻りが起きないようにすることです。また、この保定期間は矯正期間以上に、食べ方や、お口周りの癖が歯に与える影響を大きくしますので、悪影響を与える行為はしないよう、注意が必要です。

治療の流れ

 治療をご希望の場合は上手のような流れで進めていきます。状況によっては、矯正前に歯周病やむし歯治療を行うこともあります。

治療にかかる費用

費用については上記をご参照ください。

いかがでしたでしょうか?SH療法は、他の人にわからないうちに、綺麗な歯並びにでき、かつ将来の健康にも好影響を与える素晴らしい治療です。一方で、デメリットもありますので、よくご検討いただき、治療を受けられたいときはご連絡ください。